スクラッチャーに聞きました「なんでスクラッチしてるの?」
スクラッチ運営がアンケートで「どうしてスクラッチを使っているの?」を調べました。
そのまとめがこちら↓です。
スクラッチを使用する理由を尋ねられたとき、ほとんどのスクラッチャーは、〔中略〕コミュニティの重要性について話します。〔後略〕
スクラッチ公式サイト〜年次報告書2020〜
これは驚きでした。
スクラッチを続けている人は、スクラッチがプログラミング教材として重要というより、コミュニティとして重要だというのです。
コミュニティとして重要とはどういうことでしょうか。
上で省略した部分を改めて掲載しますね。
スクラッチを使用する理由を尋ねられたとき、ほとんどのスクラッチャーは、継続的な参加を動機付け、創造性を表現し、友達を作り、フィードバックを受け取り、新しいアイデアを得て、新しいスキルを学ぶことができるスペースを提供するためのオンラインコミュニティの重要性について話します。 多くのスクラッチャーは、互いにつながり、共有し、学び合うための安全で居心地の良い空間としてスクラッチコミュニティに対して感謝の意を表しています。
スクラッチ公式サイト〜年次報告書2020〜
つまり、表現したり、友だちを作ったり、コメントをもらったりすることを楽しんでいるということです。
これでもスクラッチはただのプログラミング教材だと言えるでしょうか?
僕は違うと思います。
これってむしろツイッターとかFacebookとかインスタみたいなSNSに近いと思いませんか?
そうなんです、スクラッチって実はSNSっぽい仕組みなんです。
「スクラッチ=プログラミング」というイメージが強すぎて思考ロックしがちだけど、スクラッチを楽しんで続けている人たちは、「スクラッチ=SNS」って思ってる。
スクラッチがSNSっぽいから何だって言うの?
だから何が言いたいかというと、スクラッチを楽しむならまずSNSとして楽しんでみよう、ということ。プログラミングうんぬんじゃなくて。
プログラミングとしてだけでスクラッチを続けるのは、人によってはけっこうハードモードです。
イージーモードから始めよう。
それがSNSとして楽しむということ。
以下はスクラッチ年次報告書2020の中で紹介されていたスクラッチャーの声です。引用させていただきました。
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私は、11歳のときにScratchに参加しました。プラットフォームの利用やコミュニティとの交流から学んだことは、成長する私の学習の本当に重要な部分でした。
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Scratchのおかげで、家にいながらにして以下のようなことができるようになりました。
- 人とそのプロジェクトを尊重すること
- 友達を作ること
- 孤立しているのは自分だけではないと感じること.... 他にもたくさん。GRACIAS(ありがとう)!
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私はScratchを約2年間使用していますが、人生を変えるような経験をしてきました! コーディング、オンラインエチケット、アートなど、たくさんの新しいことを学びました。
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6年生の間、Scratchは私のお気に入りの趣味でした。Scratchは、ブール論理、演算順序、入れ子になった数式をこっそりと紹介してくれました。—コンピュータのプログラミングそのものは言うまでもありません。
本当にSNSなの?プログラミングを作るところでしょ?
SNSについてはみんなイメージがあるから、どうしてもスクラッチはSNSというのを飲み込めないかもしれない。
そこで、一緒にSNSってなんだろうということについて考えてみようと思います。

あくまで僕が考えるSNSだから、「そうは思わない」と感じてもOKだよ。
SNSといえば、インスタ、ツイッター、あとYOUTUBEとかかな。他にもたくさんあるけど。
それぞれの特徴を書くとこんな感じかな。
- インスタは、主に写真で自己表現と交流する
- ツイッターは、主にテキストと画像で自己表現と交流する
- YOUTUBEは、主に動画で自己表現と交流する
ではスクラッチは?
- スクラッチは、主にプログラミング作品で自己表現と交流する
一側面ではあるけど、他のSNSとすごく似てると思いませんか?
これも僕がスクラッチの正体はSNSって考える理由です。
交流が楽しいだけってこと?
交流は楽しいけど、それだけではないのです。
プログラミングを通して自己表現し、健全に交流できることが、めちゃくちゃ学びになるという副産物を産んでいるのがスクラッチの注目ポイントなのです。
この副産物こそが、先生や大人がこぞって「スクラッチはプログラミング教育に使えるぞ!」と言う理由の1つ。
でも学びは副産物です。メインはSNSとしての交流です。
副産物って?
ちなみに副産物というのは、「豆腐を作ると、ついでにおからもできる」とか「日本酒を作ると、ついでに酒粕もできる」という、ついでにできるなにかのこと。
スクラッチの場合は、「SNSとして交流を楽しむと、ついでにプログラミング思考も鍛えられる」という美味しい副産物ができます。
これが教育者に注目されている主な点。
スクラッチのいいところ、まとめ
ちょっとまとめます。
- 使ってる人めちゃ多い(交流が活発で楽しい)
- 表現手段がプログラミングである
- コミュニティが健全に運営されてる
ということから、結果的に「スクラッチめちゃ学び多いじゃん」という副産物が産まれている。
大人経由でスクラッチに触ることになった子供は、「プログラミング教材」としてスクラッチと向き合うかもしれません。
それでも楽しめるなら全然いい。
でも「なんか違う」と思っていませんか?
もし思っているなら、「自分にはきっとスクラッチは合わないんだ」と見限る前に、スクラッチの本質はSNSであるということを思い出してほしいです。
表現と交流を楽しめないか、そういう視点であらためてスクラッチと向き直ってみてほしいのです。
その具体的な方法もこのあと書いてあるから、楽しみにしててね。
でもSNSだと、まずくないですか?その……炎上とか。
スクラッチがSNSとして愛されていることをはっきり認識して、かつ先手を打って動いている人たちがいる。
それが一部の大人たちの存在。
上に「コミュニティが健全である」と書きましたが、この「大人たち」がキーパーソンです。
ガイドライン保全活動がすごい
スクラッチコミュニティでは良識ある大人が混じって、コミュニティガイドラインを制定して、ガイドラインが維持されるように活動しています。
ガイドラインを作って放置するのはカンタンだから、他のSNSでもやってます。
でもガイドラインを維持するように活動している大人がいるという点がスクラッチコミュニティの独特なところ。
さらに、そのガイドラインを守ろうぜという流れを、子どもたちも受け入れている点も見逃せないです。
子どもたちが受け入れやすい環境を、一部の大人たちが作り上げているからです。
これはマジ尊い。
つまりどういうこと?
たとえばインスタやツイッターで「この写真きらい」「でしゃばるな」みたいなコメントをしても、投稿者から文句言われるか、リスナー同士でバトルになるか、まぁいわゆる炎上しても各々の自己責任の世界ですよね。
でもスクラッチで荒らしコメントをすると、まぁまぁの頻度で注意されます。注意です。例外はあるかもしれないけど、バトルになったりすることは少ない。「そういうのはよくないよ」と言われるんです。高校生が小学生に諭されるみたいな。
スクラッチでは「よくないってコミュニティガイドラインに書いてあるよ」と言って「は?なんのこと?」とはなりません。
それくらいコミュニティガイドラインというものを重視する文化が根付いているのです。すごくないですか?
他にも健全さを保つ色々な仕組み作りが行われている
ガイドライン以外にも、良識ある大人に相談できるディスカッションフォーラムの存在や、スクラッチチームからのメッセージ(アラート)が届く仕組みや、さいあく厳しい垢バン措置といったペナルティも、こういう文化形成に役立っているでしょう。
この「健全さの保全活動」「コミュニティガイドラインを守る文化」こそ、SNSとしての悪い側面を出しすぎずに、良い側面(学びとか交流)を世界にアピールできている理由の1つかなと思ってます。
つまり、スクラッチいいね!ってみんなが言ってる根拠には、ちゃんと大人が見守ってくれているSNSっていう裏付けがあるってこと。
だからめったに炎上ということにはならない。何かあっても、他のSNSみたいな大惨事にはならない。
健全さは比べ物にならない。
スクラッチだとイイコにしなきゃダメなの?
別にそういうことじゃないよ。
でも、正直に書くね。
スクラッチコミュニティ内で嫌がられる行為が実際はある、ということも伝えておきます。
- 荒らしコメント
- 宣伝コメント
- 無変更リミックス
- 無差別フォロー
- クレジット無記載
パッと思い出せたのはこれくらい。
これらは嫌がられるから、やらないほうがいいです。
理由を書きます。
荒らしコメント
荒らしコメントとは、作品に対して「つまんねー」「クソゲー」「なにこれ?」みたいな心無いコメントをすることです。
これはほぼ100%通報されるし、なにも生み出さない。
というかこういうコメントにはだいたいこう返ってくる。
「じゃあ君が面白いゲーム作ってみなよ」と。
特大のブーメランですね。
宣伝コメント
宣伝コメントとは、「面白いですね!僕の作品もやってみてください。URLペタッ」みたいにコメントを通して自分の作品に誘導するコメントです。
よく作者のメモ欄に「宣伝禁止」「no advertisement」と書かれています。
これは「宣伝コメントはやめてね」ということ。
書かれてなくてもすべきではない。
でも「宣伝していいよ」「advertisement friendly」と書かれているプロジェクトもある。それは例外。
無変更リミックス
無変更リミックス、これはやばい。
スクラッチにはリミックスといって、全く知らない誰かのプロジェクトでも、誰でも自由に自分の作品としてコピーできる機能があります。
しかもワンクリックでできるし、推奨されています。
推奨される理由は、コピーした上でなんらかのオリジナリティを追加する前提で用意されているから。
でも、何も変更を加えずに「自分が作りました」「あ、リミックスって無変更駄目だったんだ、知らなかったテヘペロ」みたいな無変更リミックスが行われることもあります。
絶対やめよう。
それでフォロワーが増えたり、ハートをもらえても、虚しくない?
無差別フォロー
無差別フォローは、賛否両論あります。
別に完全に悪いことではない。
いろいろな人の作品を追いかけたいから、ひたすらフォローしまくるというなら、それはOKだと僕は思います。
ただ、フォローするからフォローバックしてね、という理由でフォローすることはスクラッチの使い方として間違っているかな。
そういう理由の無差別フォローを考えているなら、やめよう。
スクラッチはそういうSNSではないから。
クレジット無記載
クレジット無記載は、リミックスしたり、誰かのプロジェクト内で使われている素材やスプライトを借りたのに、そのことを明記しない行為です。
嫌がられる。
これは関係者以外にはバレにくいです。
でもバレなければいい、という自分の心根に問いかけよう。
それでいいのか?と。
それに関係者にはバレます。
関係者とはリミックス元の人、素材を作った人などです。
無言で通報されるでしょう。
ワクワクする方向に目を向けよう
スクラッチで嫌がられる行為について赤裸々に書きました。
書いたのには理由があります。
君に、嫌われることをしてほしくないんだ。
それに、こういう嫌煙行為をしないことは、果たして君の自由を束縛する鎖になるでしょうか。
僕はそうは思わない。
もっとワクワクできるコミュニティだから、楽しんじゃおう!
でも他の人みたいに何を作ればいいか分からないし……やっぱスクラッチ楽しめるのって選ばれし人なんじゃないの?
何を作ればいいか分からない、そりゃそうです。分かるわけない。
理由は割愛します。
それより答えを言います。
ずばり、ゲームせよ!!
何を作ればいいか分からないけどどうしたらいい?への答えはコレだよ。スクラッチでゲームせよ。
スクラッチにはたくさんの作品やゲームやアニメが公開されています。それらを楽しむんだ。have fun。バイブスアゲアゲ。
「うわーすげー」「なにこれ楽しい」が何回も何回も繰り返された先に、ふと思うはずです。
「自分もこういうの作ってみたい」と。
それがクリエイティビティの産声。楽しい気持ちが、化石燃料みたいに君の中に蓄積されていき、そしてそのうち爆ぜます。爆ぜるのを待ってひたすら楽しめばいい。
勝手に爆ぜます。
どうせ自分でも止められない。作りたくなると、勝手に学びたくなるでしょう。本格的に学ぶのはそのときでもいい。
スクラッチの具体的な真の楽しみ方
まず楽しもう。楽しむ具体策は主に2つ。
- ゲームや作品をプレイして楽しむ。
- 作者さんにコメントして交流を楽しむ。
ここから始めてみよう。
スクラッチでガチで自己表現してたら、その結果、プログラミング思考なんて勝手に育ちます。だからそこは考えなくていいです。
じゃあ学びたくなったらどうしたらいいの?
これも答えを言います。
スクラッチを学ぶ方法はカンタンです。
スクラッチをぶっ壊せ。
これが答えです。
ん?どうしてハンマーを持ってきたのかな?
ぶっ壊せといっても物理的に壊すということではないから、落ち着いてハンマーを降ろすんだ。どうどう。
わかった、もう少し詳しく書くから。
スクラッチはプログラミング言語とは学習プロセスが違う
スクラッチは他のプログラミング言語とは違います。
プログラミング言語っていうと何か知ってるものがあるかな?
JavascriptとかPythonとか聞いたことあるだろうか。
プログラミング言語というのは繊細なもので、一文字でも違ったらすぐに動かなくなります。
例えば、PHPという言語なら、
<?php echo 1; echo 2 ?>
これはOK。
画面に12と表示されます。でも、
<?php echo 1: echo 2 ?>
と書いたら、これは動かない。
画面が真っ白になってしまいます。壊れた状態です。
間違い探しみたいだけど、よく見るとセミコロンがコロンに変わっています。これだけで壊れるのです。繊細でしょ。
だからプログラミング言語を学ぶときは、書籍や動画を見たりスクールに通ったりして、弁当箱にぎっちりおかずを詰めるように、1から順にヌケモレなく文法を学ぶのです。僕もスクールに通ったことがあります。
スクラッチは頑丈
でもスクラッチはどうでしょうか。
スクラッチを普通に使ってて画面が真っ白になって壊れるということは、まずないでしょう。
つまり、プログラミング言語と違って、スクラッチは壊れにくいのです。
だからプログラミング言語と同じように、丁寧に1から10までぎっちりと使い方を学ぶ必要がない。壊れないんだもん。
いきなり3から学んで、次に9を学んで、次に1を学んで、みたいなデタラメな学習でも全然OK。壊れないんだもん。
むしろ壊す方法を見つけてほしいのです。
画面が真っ白になるような極端な壊れ方は聞いたことがないので、せいぜいが画面が固まる、フリーズするといった現象が関の山かな。
スクラッチをフリーズさせるのは一苦労です。カンタンではありません。
スクラッチをフリーズさせる方法を見つける、というのを1つのミッションにしてもいいくらい。
適当に使い方を調べていくうちに見つかるかもしれないし、ゲームをしてて「あ、このゲーム壊れてる」と気づくかもしれない。
ゲームが壊れていると気付けるのは、それなりにスクラッチプログラミングを理解している証拠でもあるから、ミッション達成です。
こういう意味で、スクラッチを学ぶ方法の1つとして、スクラッチをぶっ壊せと書きました。
スクラッチコーチでもスクラッチを学べるようにします
スクラッチコーチでも基本的な使い方を載せていく予定。
内容をまとめるのに便利だから1からナンバリングしていく予定です。
でもどこから学んでもOK。
1から順番でもいい。飛ばしてもいい。途中で止めてもいい。再開してもいい。
一緒に学べる日を楽しみにしてます。
ちょ、ま、ゲームせよって、どこにゲームあるん?

スクラッチのゲームか?ほしけりゃくれてやるぜ……。探してみろ。超面白いゲームを厳選してスクラッチコーチに載せてきた。(元ネタ:ワンピース)
LOVE
さて、スクラッチとは何かという僕の考えは以上です。
もっと真面目なスクラッチとは何かという情報は公式サイトを参照すると良いでしょう。
このスクラッチコーチという、ちっぽけなサイトを訪れて、僕の稚拙な文章をここまで読んでくれた君に、この赤裸々なスクラッチ論を以て、僕なりの感謝としたいです。
ほんとに最後まで読んでくれてありがとう。